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コラム : 事務職からITエンジニアに転職したら経歴詐称を強いられた30代女性エンジニアのはなし

事務職からITエンジニアに転職した30代女性が経歴詐称を強いられた衝撃の体験を語ります。転職先での厳しい現実とどう向き合ったのか、その全貌を明らかにします。

公開日:2023年9月15日

目次

コラム : いろんなキャリアについて

「コラム : いろんなキャリア」では現役エンジニアさんから実際に聞いた話をまとめています。ご本人に配慮し、多少の脚色を加えていますのでフィクションとしてお読みください。

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経歴詐称を強いられた30代女性エンジニアのB子

田舎でも都会でもない町で働くB子は、うんざりしていた。

入社以来上がらない給料。参加しないと風当たりが強くなる飲み会。毎日変わらない業務。将来の底が知れる上司。会話の話題はテレビ番組。まるで時が止まってしまっているような日々だった。見えるようで見えない焦りがいつも頭の周りを漂っていた。

そんな状況をなんとか変えたかった。次は視界がひらけた職業につきたい、そう考えていた。そんなB子の目に止まったのが「ITエンジニア」という文字だった。

B子は上京することを決意した。インターネットで見つけた、未経験でも、女性でも活躍できる職業、ITエンジニアを目指すことにした。

何社か面接をし、内定も複数もらった。その中で研修制度が充実しているところを選んだ。研修中もお給料が出ることがB子にとって決め手だった。内定とともに上京を決めたのだ。

東京での新しい生活が始まった。

入社してすぐの研修は2ヶ月に及んだ。 Javaの構文、基本的なSQL文などを勉強した。 同期も数人いて、同じ環境で学んでいた。研修はそれなりに楽しかった。

研修が後半戦を迎えるぐらいの時、配属にむけての「面談」というものがはじまった。つまりはお客さん先で働くための審査だ。派遣みたいなものと聞いていたし、面接の時も説明をされたから問題はなかった。同期の方が面談を早く経験したので、B子は事前に様子を聞いたりしていた。

ついにB子にも声がかかる。現場配属の相談をしたいとのことで会社の営業からミーティングが設定された。ミーティングがはじまった開口一番、営業から「B子さん、開発したいですよね」と言われた。B子はその言葉の意図を汲み取れた。実は同期からうすうす聞いていたのだ。

営業からみせられたB子のスキルシートには「テスト1年、開発経験1.5年」の文字が並んでいた。想定問答集も用意されていた。自分は研修をしているだけなのに2.5年のエンジニア経験者としての仮面を被せようとしているのである。売れないから。

断ることはできた。しかし、断れなかった。B子はもう後戻りできないと思っていた。B子は営業から言われた通りの準備をすることにした。研修を終え、面談の練習をする、という日々の繰り返しを受け入れた。

ついに面談を迎える。すでに取引のある会社らしく簡単な自己紹介と雑談のような会話で面談は終わった。不安な気持ちとは裏腹に意外とあっさりB子は合格だった。配属先は良くも悪くも打鍵テストが主な仕事だった。自分のスキルでもできることだったが、開発はできなかったし、思ったような仕事ではなかった。しかし、B子はやりきることにした。やれることは単調だが給料がでる。お客さんもいる。彼女は頑張った。

配属されて12ヶ月。現場が終了となった。彼女が原因ではなく現場の都合である。彼女はある程度評価されていたのだ。二つ目の現場はJavaの開発の現場だった。既存システムの保守開発がメインだったが、希望に近い仕事ではあった。技術は足りないがとにかくやろうと思った。2年ほどその現場で頑張り続けた。フロント周りの技術も任せてもらえるようになった。

そこで転機があった。

同じ現場の上位会社のエンジニアさんと仲良くなり、ふとしたきっかけで給料の話になったのだ。「会社にだいぶ取られている。B子さんならもっともらえるよ」と言ってくれた。この出会いをきっかけに今の境遇を振りかえってみた。実際に生活はギリギリ。買い物も我慢しているし、忙しいときに出前をとることも悩んでしまっている。上京して約3年、プライベートも考えるようになっていた。

結果、会社を変えた。同じSESの企業だ。転職先には経歴詐称だったことも伝えた。その上で転職を認めてくれた。詐称しなくていいんだという気持ちになれて辛さが軽減した。上位会社のエンジニアさんに言われるまで自分の給料がおかしいことに気づかなかった。今の自分のエンジニア歴だと妥当な給料はどのくらいなんだろうと思ってはいたが、動くことまでできていなかった。

転職して、B子の年収は約1.5倍になった。生活にも余裕ができた。 今は新しい言語にも挑戦している。エンジニアキャリアを歩みはじめた女性の話。

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